2020年10月17日

藤田尚徳「侍従長の回想」 (講談社学術文庫) (中公文庫)



和天皇にお仕えした侍従長というのは何人もいるわけで、そのうちの幾人かは貴重な記録や回想録を残してくれています(こちらなど侍従”次”長の名著もあります)。在職時期には平穏な時代もあれば激動の時代もあり……中でも、サイパン陥落後の昭和19年8月から終戦後・東京裁判がはじまる昭和21年5月まで、という、苦難の時代にお仕えした藤田侍従長の回想。名著。

侍従長の回想 (講談社学術文庫) (日本語) 文庫 – 2015/3/11
侍従長の回想 (中公文庫) (日本語) 文庫 – 1987/5/1

内容(「BOOK」データベースより)
敗戦必至の状況に懊悩する昭和天皇。空襲、重臣間の対立、ソ連参戦、原爆投下…。終戦の決断に至るまでになにがあったのか。玉音放送、マッカーサーとの会見、そして退位論をめぐって君主として示した姿とは。サイパン陥落後の昭和十九年八月から極東国際軍事裁判が開廷する昭和二十一年五月まで側近に侍した海軍軍人の稀有の証言。
著者について
藤田 尚徳
藤田尚徳(ふじた・ひさのり)
明治~昭和時代前期の軍人。1880年東京に生まれる。海軍兵学校(29期)卒業。海軍大学校卒業。海軍省人事局長、艦政本部長、海軍次官、呉鎮守府司令長官など要職を歴任。1936年に大将。1939年に予備役編入。1943年に明治神宮宮司。1944~46年、侍従長として終戦前後の昭和天皇の側近に侍す。1970年没。
発売日 : 2015/3/11
文庫 : 240ページ
ISBN-10 : 4062922843
ISBN-13 : 978-4062922845
出版社 : 講談社 (2015/3/11)
言語: : 日本語
発売日 : 1987/5/1
文庫 : 232ページ
ISBN-10 : 4122014239
ISBN-13 : 978-4122014237
出版社 : 中央公論社 (1987/5/1)
言語: : 日本語


書には当然、昭和天皇のことが書かれていますが。必然的に、昭和天皇を取り巻く人々についても言及されており、その中には、(著者はよもやそこまでと先入観を捨てきれずにアクロバット擁護を試みているようですが)、獅子身中のナントカというか、昭和天皇の「敵」と言いたいほどの人物も含まれています。
こちらこちらで言及した近衛文麿。
彼の策動は、支那事変~大東亜戦争開戦のそれだけにとどまるものではありません。すでにこちらで引用したレビューの中にも、昭和20年6月という時期の近衛の挙動を報告している方がいましたが……
「近衛上奏文および近衛文麿に対する中川教授の評価が正しいことは、以下の 大本営陸軍部戦争指導班 機密戦争日誌 (軍事史学会編/錦正社、1998年)昭和20年6月25日の条によって証明される。」とのレビュー:Amazon
よりにもよってソ連の仲介を期待した鈴木内閣の「和平」工作のときに「だけ」無駄に熱心にしゃしゃりでてみたのは、まだしも、政府全体の錯誤でもありますから言わないにしても(ヤルタ会談に関する小野寺情報を握りつぶしたのは誰かという問題はありますが)。
敗戦後、いちはやくマッカッサーに取り入ろうとしてみたり、都合のいい歪曲に満ちた「手記」を公開して自己弁護につとめたり、あげく、昭和天皇の「戦争責任」や「退位」についてメディアの前で得々と語るなど、近衛の行状には目に余るものがあります。
特に、極左丸出しの「戦争責任」を昭和天皇一人に押し付けるなど、他でもない近衛自身が、戦前からくりかえし首相を務め、和平の機会を壊しつづけ、支那事変の長期化と日米開戦へのレールを敷いた張本人の一人であった事実を思えば、どのつらさげて言っているのか、恥知らずとしか言いようがないのではないでしょうか。
こうした近衛の天皇(それはすなわち国家国民すべてと言ってもいい)に対する背信行為が、どれほど昭和天皇の御心を傷つけたか……本書に描かれるある有名なエピソード(P206~)は日本人として読まずにすませてよいものではないように思います。


在、Amazonで入手可能なエディションは二つほどあるようで(探せばもっと出てくるかもしれませんがとりあえず管見では)、そのそれぞれに若干のレビューがあるようですから、あわせてリンクしておきます。


談社学術文庫:カスタマーレビュー
5つ星のうち4.0
7 件のグローバル評価
星5つ…59%
星4つ…20%
星3つ…0%
星2つ…0%
星1つ…20%
☆1は**です。
お里が知れる。それだけ。
そもそもレビューにすらなっていませんし。リンクを貼る価値すらもないでしょう。
まともな投稿は高評価(https://amzn.to/3k0wmbI)しかありません。


公文庫:カスタマーレビュー
5つ星のうち3.9
3 件のグローバル評価
星5つ…32%
星4つ…30%
星3つ…38%
それ以下は0%
☆3(https://amzn.to/2T2xTlU)は「投票」のみで「レビュー」は無し。無視でたくさんでしょう。


いうことで、読むにたえる「レビュー」はいずれも高評価(https://amzn.to/3k0wmbI)(https://amzn.to/2FFCQ0U)しかないことになります。
「侍従長しかわからない終戦聖断」とのレビュー:Amazon
「この立場の人間が書く内容としては一級史料であるとおもう」とのレビュー:Amazon
「「英明の君」と「思慮深い側近」に、頼らざるをえなかった日本の現実。左右の極論派には受け入れ難い内容だろうが・・・・。」とのレビュー:Amazon
「歴史的な証言」とのレビュー:Amazon
「必読書」とのレビュー:Amazon
「長年疑問に思っていたことが本書を読んで氷解しました。明治憲法下の立憲君主国日本において悩む人間昭和天皇像が見事に描き出されています。」とのレビュー:Amazon
などなど、当然ですが、大好評。
当事者だから知りえたこともあれば、当事者だからこそ俯瞰できない出来事や、同時代だからこそ把握できない情報もあるかもしれません。著者の人物評(近衛は「弱い」だけとか)や事実認識をどう評価するか、それはさておくとして。一つの「時代」の証言として、貴重な一冊であることは、誰にも否定できないのではないでしょうか(否定したがるゴミはいるでしょうが。それこそ「お里が知れる」だけのことです)。
四の五の言わず、まずは目を通してみる。話はそれからだ、とでもいうべき、基礎資料の一つではないかと思われます。


によって楽天にも以下略。
「藤田尚徳 侍従長の回想」の検索結果:楽天

など、チェックしてみるのもよいでしょう。
若干のレビューはないでもないようですしね。

健闘を祈ります。


品詳細はこちら→
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posted by みる。 at 01:51| 本・雑誌 | 更新情報をチェックする